無断駐車対策ガイド コンビニ駐車場編

無断駐車の種類と法的扱い
コンビニへの無断駐車の例を見ていく前に、無断駐車の種類にはどういうものがあるのかを見てみましょう。車が停めてある場所が、公道なのか私有地なのかによって取るべき対応や適応される法律が異なります。
公道での無断駐車
車道や公の歩道に違法に駐車する行為は公道での無断駐車に該当し、道路交通法や車庫法が適用されます。
道路交通法とは、道路における交通の安全を確保するための基本的なルールを定めた法律です。無断駐車という視点では、「駐停車禁止場所」や「長時間の駐車」が取り締まり対象になります。例えば、交差点付近、横断歩道の前後、消火栓付近などに停めると駐車違反となり、警察や駐車監視員によって、反則金や違反点数が課せられます。
車庫法とは、正式名称は「自動車の保管場所の確保等に関する法律」といい、自動車を持つ人に対して保管場所=車庫を確保することを義務付けた法律です。自動車を購入・登録する際に「車庫証明」が必要であり、原則として自宅や勤務先から2km以内に保管場所を確保しなければなりません。また、「道路に自動車を長時間置いてはならない」とも定められており、公道に車を何日も置きっぱなしにした場合、車庫法違反にあたり、道路交通法とは別の観点から罰則が課されることもあります。
- 適用される法律:道路交通法、車庫法
- 基本的に、警察にて取り締まる。反則金や運転免許証の点数等で対処
- 違反内容と対処の例
- 駐車禁止区域での駐車→駐車違反
- 長時間の放置→放置車両としてレッカー移動や罰金
- 車庫法違反(夜間8時間以上または昼間12時間以上の駐車)
→3ヶ月以下の懲役または20万円以下の罰金
私有地での無断駐車
店舗の駐車場、個人宅の敷地、月極駐車場などに無断で駐車している場合はこちらに該当します。
- 適用される法律:直接罰する法律はありませんが、以下のような対応が可能です
- 対処の例
- 民事訴訟による損害賠償請求→例)駐車料金相当額
- 妨害排除請求→例)車の撤去を求める
- 刑法適用の可能性→例)住居侵入罪や業務妨害罪など
基本的には、コンビニの店舗の敷地範囲の駐車場への無断駐車であれば「私有地」での無断駐車に該当しますが、例えばコンビニの駐車場の入り口付近の道路への無断駐車であれば公道での無断駐車に該当します。
無断駐車の種類 | 適用される法律 | 違反内容例 | 対処の例 |
公道での無断駐車 | 道路交通法・車庫法 | ・駐停車禁止場所に駐車 ・長時間放置駐車(道路を車庫代わりに使用) | ・警察や駐車監視員が取り締まり ・反則金や違反点数の加点 ・車庫法違反として処罰される場合あり |
私有地での無断駐車 (例:コンビニ、月極駐車場、空き地など) | ケースによる。 民法・刑法(不法行為・不退去罪など) | ・店舗駐車場に長時間停車 ・契約していない区画に駐車 | ・民事訴訟による、駐車料金相当額の損害賠償請求 ・車の撤去を求める等の、妨害排除請求 ・住居侵入や営業妨害に当たる場合は、刑法適用の可能性も |
コンビニ経営で遭遇する無断駐車の例
無断駐車には大きく2種類あるということはお分かりいただけたと思います。では、実際にコンビニ経営をする場合、遭遇することがある無断駐車の例を見てみましょう。
- 長時間の放置駐車
買い物は数分でも、駐車場に1時間以上停めたまま別の用事を済ませる。 - 近隣施設利用のための駐車
飲食店やパチンコ店、ジムなどに行くためにコンビニ駐車場を利用。 - 通勤・通学の“無料駐車場”代わり
駅や職場に近い店舗に車を置きっぱなしにし、公共交通機関で移動。 - イベント・レジャー時の拠点利用
花火大会やコンサート会場近くのコンビニに停め、長時間不在にする。 - 大型車やトラックの休憩・仮眠
配送とは無関係に、駐車場を長時間占拠して休憩。 - 深夜のたまり場利用
バイクや車で来たグループが買い物をせず、駐車場をたまり場にする。 - 車中泊や仮眠目的の長時間利用
夜間に駐車場で寝る、旅行前泊の車中泊など - デリバリーや営業車の待機場所利用
配送や出前の拠点として、長時間停めて待機する。 - 公道への誤認駐車(道路交通法違反)
駐車場が満車で、店舗入口前の道路や路肩に停めるケース。 - 車庫法違反に当たる放置(道路を車庫代わりに利用)
コンビニ近くの道路に数日間停めっぱなしにするケース。
コンビニ経営をしている、またはこれから始めようとしている場合は、駐車場の有無に関わらず、こういった様々なケースの無断駐車に遭遇することを予め想定しておいた方がよいでしょう。
コンビニ駐車場に11,000時間以上(約1年3ヶ月)無断駐車した車に対し、約990万円の損害賠償命令が出た例もあります。
コンビニの駐車場への無断駐車、正しい対応は?
では、実際に無断駐車に遭遇したら、どのように対応すればよいのでしょうか。対処を間違うと逆にリスクになることもあります。ここでは、取るべき対処の方法と、逆にやってはいけないことについて整理してみましょう。
無断駐車への対応NG集〜やってはいけない対応〜
無断駐車を見つけた時、感情的になってしまうとつい強引な行動に出てしまいがちです。しかし、日本の法律においては、権利を侵害された時は司法手続きによって救済を受けるべきであって、勝手に制裁を加えてはいけない、という考え方であり、「自力救済禁止の原則」と呼ばれています。
無断駐車への対応においても当てはまり、以下のような行為は、逆にオーナー側がトラブルに巻き込まれる危険がありますので、あらかじめ認識しておきましょう。
NG行為 | 具体例 | 法的リスク |
勝手にレッカー移動 | 自費でレッカーを呼び、近くの道路へ移動させる | 他人の財産を勝手に処分したとして、器物損壊罪や窃盗罪に問われる可能性 |
タイヤロックをかける | 車輪止めを無断で装着 | 器物損壊や監禁罪にあたる可能性 |
車のナンバーをSNSで晒す | 「無断駐車されました」と画像投稿 | プライバシー侵害・名誉毀損で逆に訴えられるリスク |
高額な罰金を請求する | 「罰金10万円」と張り紙 | 法的根拠がなく無効。請求できるのは駐車料金相当など実際の損害額のみ |
無断駐車への正しい対応は?
では、実際に無断駐車をされた時はどう動けばよいのでしょうか。正しいステップを踏むことで、余計なトラブルを避けることができます。
- 証拠を残す
・写真や動画で「ナンバー」「駐車位置」「停車時間」をしっかり記録。
・後に損害賠償を請求する場合の有力な証拠になります。 - 警察に相談
・公道の場合はすぐに駐車違反として取り締まり可能。
・私有地では「民事不介入」となるケースも多いですが、相談履歴を残しておくことは有効です。 - 弁護士に相談
・損害賠償請求や内容証明での警告など、専門的な対応は弁護士に依頼することで確実かつ安心です。 - 防止策を講じる
・「無断駐車禁止」の看板を設置する。
・防犯カメラやチェーンゲートを導入して再発を防ぐ。
参考:コンビニ以外でも発生!そのほかの無断駐車例
無断駐車はコンビニだけではなく、様々な場所で発生しています。参考までに、代表的なケースを整理しましょう。
- 私有地(アパートやマンションの駐車場、空き地など)での無断駐車
例えば、
・月極駐車場の契約外スペースに停める
・店舗やマンションの来客用スペースを利用する
・個人宅の敷地内に侵入して駐車する
などが該当します。この場合は、民法(不法行為)もしくは場合によっては刑法(住居侵入罪・建造物侵入罪)が適用される可能性があります。
警察は「民事不介入」として動けないケースが多く、所有者による損害賠償請求や内容証明郵便による警告などが現実的な手段となります。 - コインパーキングでの無断駐車
コインパーキングへの駐車時に
・料金の全部または一部を支払わずに出庫
・機器を壊して不正に利用する
などが該当します。詐欺罪や器物損壊罪が適用できる可能性があり、刑事事件として警察が対応できるケースもあります。一般的にはコインパーキングの管理会社にて対応を行います。 - イベント時や一時的な無断駐車
花火大会や祭り等のイベント時に、空き地や他人の敷地に勝手に停めている場合が該当します。私有地なら民法、場合によっては刑法に発展することもあります。所有者が証拠を残した上で、損害賠償請求を行うという対処が一般的です。
無断駐車への新たな対応策:コインパーキング経営
コンビニの駐車場に限らず、私有地への無断駐車は完全に防ぎきることは現実的にはとても難しい問題です。
厳しく取り締まるだけではトラブルが絶えず、コンビニオーナー様や土地オーナー様にとっても、精神的・時間的な負担も大きくなります。
そこで有効なのが、土地をコインパーキングとして活用する方法です。運営会社と一括借り上げ契約を結べば、防犯カメラや設備管理、利用者対応までトータルで任せられ、安定した収益も得られるようになります。
エコロパークは、コンビニや小規模店舗に隣接した土地活用の実績も豊富です。
「無断駐車を防ぎたい」「遊休地を安心して活用したい」という方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。無料相談やシミュレーションから承っております。